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 私の作品は日常生活を起点にし、ものに潜む可能性にフォーカスする。日常的風景に加えて、音楽も制作において大事なモチーフである。私は中国北部の小さな村で生まれ育ち、そこは周囲に山が広がり、晴れた日には遠くの黄河が見える美しい場所である。特に秋になると、広い空地には小麦が干され、小学校の校庭は稲わらでいっぱいに積まれた光景が印象強い。

 その時に最も馴染み深い音楽は朝の山鳩の鳴き声と夏夜の虫たちの囁きだった。今は日本にいるが、山鳩の鳴き声はいつも私を故郷の思い出に連れ戻す。私の制作においては音楽を聴く時に引き出された自然に関する記憶が絵の中で線になり色になり重なって空間を生む。

 レリーフ作品の制作を始めたきっかけは専門学校二年生の時にアメリカのアーティスト、トム・ウェッセルマンの作品に出会ったことだった。

ウェッセルマンが、レーザーカットを用いて、これまでにない視覚体験を作り出すことに心を動かされた。彼の「人をワクワクさせる作品を作りたい」という創作コンセプトが、私の制作を導いてくれた。

一番最初の作品はアクリル板を木製パネルに固定し完成させたが、壁に掛けて見た時に白い支持体が白い壁と一体に見え、作品が直接壁に描かれたように見えた。そこから作品を支持体から独立させ、レリーフ型作品に取り組み始めた。

 アクリル板を用いる理由としてはまず重力を感じない軽やかさ、アクリル同士の接着の素早さと軽くて丈夫なところである。さらに最も重要なのはアクリル板が簡単な加工(金属より)で様々な「形」をとることができることである。

ヨハネス・イッテンの色彩論には「色彩の連想は関連した形に置き換えられる」と書かれている。「形」は私の作品において非常に大事な部分である。たとえ色彩がなくとも形の特質だけでどのような表現ができるのか、一つの形は隣の形とどう組み合わせれば良いバランスと構成ができるのか、あるいは動きが出せるのかが私の制作コンセプトである。

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